ベンダー RYOURAN

午前2時のリクエスト

説明

東京、港区。
無機質なオフィスビルの最上階に、ひとつだけ灯る小さな明かり。
そこが、深夜ラジオ番組「Midnight Halo」のスタジオだった。

パーソナリティはミズキ。
低く澄んだ声と、どこか観察者のような語り口で、夜な夜なリスナーの心の隙間をすくい上げる。

この日、番組に届いた一通のメッセージが、彼女の声色を変えた。

「午前2時の交差点で、いつも彼女を思い出します。
あれから3年、誰にも話せなかったこの気持ちを、初めて誰かに聞いてほしい。」

ミズキは一瞬、マイクの前で言葉を探した。
そして、静かに話し始める。

「人って、忘れるためにじゃなく、思い出すために夜を生きてるのかもしれませんね。」

 3年前。
メッセージを送ったは、彼女・レナと夜のドライブをするのが好きだった。
行き先はいつも決まっていない。ただ、音楽と速度と、街のネオンがふたりを包む。

「光ってさ、ほんとは真っ暗がベースなんだよ」
そう言ってレナは笑った。

「明るく見えるのは、闇がちゃんとあるから。あたし、そういうのが好き。」

でもある日、彼女は突然消えた。
携帯も鍵も置いたまま、風のように。

 「たまにね、いろんな色の光が混ざって、境界線がわからなくなる夜があるんです」
ミズキは続ける。

「黒とも白とも言えない、でも確かにそこにある揺らぎ。そういう夜に、わたしは心が一番素直になる気がする。」

リスナーからの返信が増えた。
わかる泣いた夜ってそういう時間ですよね

どこかで誰かが、何かを吐き出すことで、また別の誰かが息を吸う。
ラジオは、見えない感情の渦を、静かに結びつけていく。

 その日、番組の終盤。
ミズキはリクエストされた曲を紹介した。

「次の曲は、誰かを忘れたくないすべての人へ。どうか、夜があなたの傷を責めませんように。」

曲が流れる。
黒と白の波が交錯するような旋律、その奥底にかすかに響く、紫のコード進行が心に沈む。

そして、リスナーの誰かが思う。
「わたしの痛みは、ひとりのものじゃなかった」と。

夜が明ける。
スタジオの窓の外、群青が少しずつ薄まっていく。
ミズキはイヤホンを外し、窓を開ける。
遠くに、交差点が見える。
誰もいない、でも何かが、確かにそこにいるような気がした。

「また、夜に会いましょう」

彼女はそうつぶやき、マイクを静かに覆った。

通常価格 ¥15,000 販売価格 ¥15,000
税込み。 
Size 2XS
在庫あり: 9999

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描く、という対話から始まる物語
RYOURANの模様は、すべて手描きで生まれます。
紙の上に筆を走らせる時間は、自然や記憶、心の中の風景と静かに向き合う時間。
こうして生まれた色と柄は、誰かの毎日にそっと寄り添い、心をあたためる存在になっていきます。
手で描くこと。それは人と布をつなぐ、静かな対話です。


模様に宿る文化を、暮らしの中へ
色や柄には、その土地の空気や人々の暮らしが織り込まれています。
RYOURANはテキスタイルを通して、顔の見える物語を届けたいと考えています。
ただの“商品”ではなく、誰かの感性や文化とつながる一着。
それを知ったとき、着ること、持つことへの意識が少しずつ変わり始めます。

やさしく、永く、大切にまとう
衣類を丁寧に扱うことは、地球へのやさしさでもあります。
必要なときだけ洗い、手入れをしながら長く着ること。
それは、水やエネルギーの消費を抑え、自然環境を守る小さな選択です。
服と向き合う時間が増えるほどに、暮らしもまた美しく整っていきます。